2020年春の緊急事態宣言以降、新型コロナウイルス感染症対策によるキャバクラ等の休業や時短営業の要請は不定期に続いています。2021年5月現在も東京・大阪・札幌等の大都市部を中心に「緊急事態宣言」や「まん延防止等充填措置」が取られており、満足に働けていないキャバクラ嬢がたくさん居る状態です。

「キャバクラのキャストとして働いていくために、どうしたらいいんだろう」「今後の生活が不安」「お客様がどんどん離れてしまう」と不安でいっぱいのキャストさんも多いのではないでしょうか?

コロナ禍が続く中、キャバクラのキャストはどのように生きてゆけばいいのか---ここではそのヒントとなる考え方を6つ、紹介していきたいと思います。

 

生活安定の制度はフル活用!

キャバクラのキャストさんの中には「今もう生活がヤバイ!」という人も居ることでしょう。生活が安定していないと、未来のことを考えることもできませんよね。でもそのような人でも、意外と政府や自治体・民間企業が行っている「コロナ関連の支援制度」を使っていなかったりするんです。

「水商売だと支援制度は使えない」「役所の手続きってむずかしそう」と思い込んでいませんか?

コロナ関連の支援制度の中には、キャバクラ等の飲食店で働くキャスト(個人事業主やアルバイト)でも受けることができる支援がたくさんあります。
緊急小口資金

緊急小口資金

緊急小口資金(きんきゅうこぐちしきん)とは、新型コロナウイルスの影響を受けて休業等に追い込まれている人向けに自治体が生活維持のためのお金を貸してくれる制度です。

個人事業主等の特例の場合には最大20万円、その他の場合でも10万円の貸付を受けることができます。

手続きの流れ

  1. 市区町村の社会福祉協議会に申し込む
  2. 社会福祉協議会が都道府県の協議会に申込書を送付
  3. 条件クリアしていれば都道府県からお金の貸付(送金)される

【申込・相談窓口】お住まいの市区町村の社会福祉協議会

総合支援資金

主に失業して暮らしを立て直したい人向けの制度。最大1回60万円を3回まで、無利子または低利子で借りることができます。キャッシング等よりずっと安全です。申込み期限が延長され、2021年8月まで申し込めるようになりました。

申込みや相談は、上の「緊急小口資金」と同じくお住まいの市区町村の社会福祉協議会が窓口です。

【申込・相談窓口】お住まいの市区町村の社会福祉協議会

住居確保給付金

休業等に伴う収入の減少で住居をうしなう恐れがある人向けの救援制度です。対象は離職・廃業から2年以内で、賃貸物件等に住んでいる人。

原則3ヶ月~最大9ヶ月、自治体が家主さんに家賃相当分のお金を払ってくれます。また受給期間が終了した人についても、3ヶ月間に限り再申請が可能です。申請の相談は、お住いの地域の近くにある「自立相談支援期間」が窓口なので探してみましょう。

電気・ガスの支払い猶予制度

コロナ禍による収入減少により支払いが困難になった人向けの猶予制度。電気やガスの供給停止や強制解約等を防止できます。詳しくは利用している電気会社やガス会社の窓口(カスタマーセンター)にまで問い合わせをしてみましょう。

携帯電話料金の支払い猶予制度

スマホ料金の支払いを待ってもらえる制度です。これも新型コロナ禍による特例なので、携帯電話会社のカスタマーセンターに相談してみましょう。

※特にスマホ料金は「延滞」をしないことが大切です!毎月払う料金の中に機器代金(スマホ端末そのもののお金)が含まれているので、ローンを払っているのと同じ状態になっています。ローンを延滞したままでいるとブラックリストに乗ってしまって、携帯が契約できなくなってしまうこともあるんですよ。 払えなくなる前に、早めにスマホの会社に相談しましょうね。

上のような制度をフル活用していけば、最大200~300万円というレベルで現在の出費を抑えて、生活を安定させることができます。特に緊急小口資金や公共料金の支払猶予等については「水商売でも通った」というクチコミも多数!チャレンジしてみて損はないですよ。

 

「昼職」への転職は厳しい状況

キャバクラ等の飲食店の休業・廃業等が続く中、一般事務職や営業職等のいわゆる「昼職」への転職を考えるキャバ嬢も少なくありません。しかし実際のところ、昼職への転職は厳しい…というのが現状です。

これには3つの理由があります。

日本全体が失業状態

このコロナ禍の影響を受けているのはキャバクラ等の飲食業・サービス業だけではありません。製造業や販売業等、ほとんどの業界が苦況に立たされており、失業率も高まっています。

カンタンに言えば「各業界の経験者」の人達が仕事を探している状態なわけです。競争率が高くなってしまいますよね。

「未経験者」扱いになってしまう

水商売の場合、残念ながら今までのお仕事はキャリアとして認められることがほぼありません。昼職での転職活動では、どんなに売り上げたキャバクラのキャストでも「未経験者」「就業経験無し」といった扱いになってしまいます。

キャバクラの世界に比べると、昼職の世界は「未経験」にとても不利です。未経験OKと応募要項に書いてあっても、実際には経験者優先というケースは珍しくありません。完全な未経験者でOKという職種はとても狭くなってしまいます。

昼職・夜職の価値観の違い

最も大きな問題がこれです。2019年のデータでは、24歳事務職の平均年収は297万円。しかしこれは経験者・転職者の年収ですので、未経験者となると平均年収はさらに下がって240~250万円台になります。

つまり月収17万、18万というのが「当たり前」なのです。夜職のみの経験者の人の場合「未経験者でも月収30万位は普通のはず」と考えている人がたくさん居て、転職エージェントでもトラブルが増加しています。昼職に完全転職するということは、生涯年収が大幅に下がるのだと覚悟をしなくてはなりません。

上のような要素を見ていくと、安易な昼職への転職は非常に厳しいところです。やみくもな転職活動で時間や労力を消耗するより、一度落ち着いて「キャバクラのキャストとして生きていく方法」をもう一度見直してみた方が良いかもしれません。

 

見えてきた「コロナ禍の収束シナリオ」

2020年の緊急事態宣言が発動した頃には、新型コロナウイルスの感染拡大が収束する目処は見えておらず、私達はいつ終わるともしれない不況のために大きな不安を抱えなくてはなりませんでした。

しかし2021年、ファイザー製薬やアストラゼネカ株式会社を始め、多数の製薬会社が新型コロナウイルスのワクチン製造に成功。同年5月には高齢者を対象とした大型一斉接種もスタートしています。

本来、ワクチンの製造には5年以上がかかるとも言われていたところを超スピードで対応し日本でも接種が開始されるとは、医療のプロでも予見できなかった未来です。今後ワクチン接種の導入や接種のルートが確立すれば、2021年~2022年には新型コロナウイルスによる大きな波は一段落することでしょう。

苦況の終わりは近い?

コロナワクチンの普及が近い--それは「水商売の苦況がいつまでも続くわけではない」ということを示しています。というか、コロナ収束が見えてきた時こそ、キャバクラ等の需要が大きく伸びる時となるはずです。

キャバクラのキャストの皆さんも、「コロナの影響で買い物ができない」「パーティーができない」といったフラストレーションを抱えているはず。コロナが収束したらコレをやろう!と思っていること、たくさんあるのでは?

それはキャバクラのお客様達にしても同じことです。「ワクチン打ったらキャバでたくさん遊ぶ」と思っているお客様をお出迎えできるのは遠い未来ではありません。

 

ピンチをチャンスに変える

水商売の業界の中でも、コロナ禍でのピンチを経営拡大のチャンスと考え、成功しているキャバクラもたくさんあります。

例えば六本木の人気キャバクラは、多くの上質なキャストが離職している今を「人材確保の絶好の時期」と考え、スカウトに力を入れているそうです。確かに以前であれば引き抜きが難しかったレベルの品質の高いキャストを集めることができれば、今後の展開に大きな強みとなりますよね。

また銀座の高級クラブ「ル・ジャルダン(Le Jardin)」は、コロナ禍の影響を受けて一気に人気を確立したオンラインキャバクラ「スマキャバ」に加盟。新たな顧客獲得に成功し、道を切り拓いています。

これらはお店全体としての取り組みではありますが、キャスト単位でも新たな取り組みができないわけではありません。

逆風が吹いているときこそ、新しいことに挑戦する良い機会となるのです。

 

「単純接触の効果」を忘れずに!

単純接触の効果」という単語を聞いたことがありますか?これはアメリカの心理学者ロバート・ザイオンスが提唱した法則で「ザイオンス効果(ザイアンスの法則)」とも呼ばれています。

はじめのうちは興味がなかったものでも、何度も見たり名前を耳にしたりしているうちになんとなく好きになっていく。これが「単純接触の効果」です。

例えば最初は「なんか苦手かも」と思っていたお客様でも、何度か通ってくださるうちに「そんなに苦手でもなかった…」「意外と良い人」となることってありますよね。これも『単純接触の効果』で、顔を観る回数が多い方が評価が高くなりやすく、印象が良くなりやすいという影響があるからなんですよ。

でも反対に「顔を観る回数」「名前を聴く回数」が減っていくと、人間はその相手に対する興味をだんだん失ってしまい、好感度も下がってしまいます。毎週見ていたYou Tubeの配信、何度か見逃すと「もういいかも」ってなりませんか?

「好き」「興味がある」という状態をキープするには「定期的に」顔を見たり名前を聞いたりする機会を持つことが大切なんです。

なかなか来れないお客様にも連絡を

お客様のリストをもう一度見直してみましょう。「最近お店に来れていないお客様」「最近、連絡をあまり取っていないお客様」どれくらいいますか?

「連絡をしてもあまり良い反応じゃないから…」と連絡を絶ってしまうのはもったいなさすぎです!上でも言ったとおり、接触回数は好感度を上げるための大切な手段。LINE等のオンライン上でも顔が見られたり話ができたりすれば、それだけ「接触をした=好感度がもう一度上がる」ことに繋がるんですよ。

LINE等であれば、あなたの顔写真や動画を入れてみるのもとてもオススメ。顔が見えない状態に比べて「最近のあなた」に接触してもらうことで、お客様との繋がりがもう一度強くなります。

 

自分をブランディングする機会に

人気のキャバクラ嬢達が口を揃えて言うのが「ブランディング」の重要性です。ブランディングとは、「自分のイメージを高め、価値ある人間であると意識付けること」。カンタンに言えば「このキャバ嬢を指名する意味がある!」とお客様にスムーズに思ってもらえることが大切なんです。

「売れっ子」ブランディングが人気の元?

かつて「小悪魔ageha」等のギャル系からキャバ嬢ブームが到来した時代、「売れっ子キャバ嬢」「ナンバーワンキャバ嬢」として雑誌やメディアに紹介された女の子の中には「実際はそこまで売れっ子ではない」という子が意外と大勢いました。

自分を「ハイクラスだ」「人気者だ」というイメージで押し出すことでハイクラスの女性が好きな男性たちの興味を引いたり、特徴的なエピソード等で顔や名前を覚えてもらいやすくして沢山の氏名を獲得する…これもひとつの「ブランディング」です。彼女たちは実際にセルフブランディングに成功し、雑誌等のメディアの中の「ナンバーワン」から本物の「ナンバーワン」へとのし上がっていきました。

現在であれば、InstagramやTik Tok、Twitter等のSNSを駆使して自分の工夫だけでセルフブランディングをすることもできます。また空いた時間を使って特技を作り、特徴や話題のあるキャストになることもできるでしょう。

キャバクラ苦況の今は、人気のキャストが廃業したりして競争率も下がっています。「自分」というキャストをセルフブランディングして「上」を目指す絶好のチャンスです。コツコツと接客をするだけでない新しい顧客獲得法として、ぜひ「ブランディング」を検討してみましょう。

 

おわりに

コロナ禍をキャバクラ嬢が生きていくための6つのヒント、参考になりましたか?見方を変えてみれば、苦しい状況が大きなチャンスとなったーーこんなケースは珍しくありません。

「不況だから今は無理」ではなく「不況だからこそ」と捉え、新しい自分へと一歩を踏み出してみましょう!